中川恵バイオリン・ビオラ教室

バイオリン基礎練習 教本と使い方 [3] 左指の置き方

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基礎練習 教本と使い方 [3] 左指の置き方

基礎練習 教本と使い方 [3] 左指の置き方

2020/05/23

私がレッスンで用いている基礎練習用の教本と、その使い方をご紹介しています。
左指の置き方が良くないままポジション移動に入っても、上手に移動させることはできません。ビブラートもしかり。左フォームが良ければ、トリルやビブラートは自然とできます。
身体に柔軟性のある器用な子は、変な形でもできてしまうことがありますが、そのまま難しい曲や練習に進んでしまうと、壁にぶつかり、身体を痛めます。

左指の基礎練習は、指の体操②   指の体操③  も参考になさってください。

[3]左指の置き方

左指の置き方や左半身のフォームを整える練習は、どの教本でも使える部分があり、曲のなかでもできます。
別メニューより曲の方が、家でおさらいしてくる率が高まります。しかし大人の生徒さんにやらせると、曲が曲でなくなってしまう、無機質な音の羅列になってしまうケースもあります。
どの生徒にどんな練習メニューを用意するかは、先生に観察力がいります。

(1)形を整える  ~軸を作る

◆身体に中心軸があるように、四肢にも中心軸があります。
バイオリンの両手の中心軸は、中指と薬指のあいだが基本的な位置です。その軸は、運指/運弓により左右に動きます。
手の中心軸は、腕の中心軸を通って、身体の中心軸=体幹へつながっています。

◆1は親指にいちばん近く、大変押さえにくい指です。それを左手の形ができていない状態で使おうとすると、フォームが歪んでしまいます。
 バイオリン習い始めの多くの教本では、左指を1→2→3→4という順番に使ってゆきます。1→2→3→4と音程が上がることを「理解する」という意味ではよい順番なのですが、身体的にはあまりよくありません。1から始めると、人差し指の位置で軸が固まり、小指の方向へ動きにくくなります。

 私の教え方は、23の型を安定させて、それから14に取り組みます。2と3のどちらを中心にすえるか、1と4の順番をどうするかは、生徒さんにより異なります。1の次に4を使う教本を見たことがありますが、それもありだと思います。

◆軸は移動します。1を使うときは1から甲・腕へつながるライン、4を使うときは4から甲・腕へつながるラインです。

 これは右手の運弓時の、手の重心の移動に似ています。弓元のときは、薬指と小指の2本脚で立っているようにイメージします。弓先へ行くにつれ、中指→人差し指へと軸が移ります。左手と右手は、まったく違う役割を担っているようでいて、その使い方やフォームには似通ったところが沢山あります。

練習はやさしい曲の中でやることが多いのですが、「3指のエチュード(手製のプリント)」もよく使います。
3から始まり、124の指を巡回し、半終止・終止形で3に戻ってくる構成で、全パターンを網羅しています。
自分で作っといて言うのもなんですが、つまらないので、この練習に耐えられそうな生徒さんにだけ渡します。

(2)数をこなす、パターンを網羅する

◆セヴシック

Op.1-1 No.1~4 で、ゆっくり置き方を整える練習ができます。
No.1 をA線でやるときは、イ長調でやるといいです。つまり23がくっつく形でするのです。なれたら記譜通りでもいいでしょう。
このエチュードはつまらないのですが、長調だと多少は楽しくできます。

ほかの弦も、23がくっつく形の長調でやります。
Op.2 Op.6 も使える所があります。

 

◆シェラディック

運指のための教本ですが、いろんな用途で使えます。絵づらが単調ですが、弾いてみると曲のようになっていて、見た目ほどつまらなくないです。
ポジションをまだしていない方でも使い始めることができますが、ほどなく 2nd や 3rd が出てきて、最後は 10th までいきます。スケールやアルペジオに近い内容です。

左4指をのばしてとる音が多いです。運指のための練習は、置き場所の感覚を養うためにも8度圏内でして、8度以上に指を開く練習は別に取り組むのがいいと思います。
半音のばす練習はしてもいいと思います。全音はフィンガリングを変えてもいいでしょう。バイオリンを発明した欧州の男性の手と、同じことができなくていいのです。手を鍛えることは大事ですが、傷めないことが前提です。

 

◆クロイツェル

運指の練習にも 運弓の練習にも使えるエチュード集です。フィンガリングもボーイングもはまりやすく(やりやすいという意味です)、良い曲?が多いので、弾いていて楽しいです。

運指の練習で使うなら、まずはNo.2 の指の置き方を 丁寧に確認してゆきましょう。2ndポジションが巧妙に使われており、最初はあれれっ!と思うかもしれませんが、慣れればとても合理的です。ボーイングパターンが沢山載っており、運弓を鍛えるのに使ってもいいし、左指の置き方を改善する使い方もできます。

 

◆ウォールファールト

地味な練習メニューです。シンプルに数をこなすのにいいでしょう。
「40 Elementary Studies」はポジションはありません。
「60 Etudes」は「Elementary」よりやや難しく、後半にポジションが出てきますが、そんなに高くありません。

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